はじめに
宿泊者アンケートを作ろうとして、何を聞けばいいか手が止まったことはないでしょうか。清潔さ、接客、総合満足度。定番の項目を並べても、それで足りているのか判断できません。この記事では、宿泊者アンケートの項目の決め方を、口コミの「中身」を増やす観点から整理します。ポイントは、設問を一度で完成させず、聞けていない話題を見つけて足していくことです。
宿泊者アンケートの項目は、口コミの「中身の種類」から決める
AIが宿を紹介するときに使うのは、評価より内容
2026年、日本のGoogleマップにGeminiを使った機能が加わりました。口コミなどを分析して要点を示す「この場所のヒント」や、話しかけて場所を探す「マップに相談」です。
旅行者の質問にAIが答えるとき、材料になるのは口コミの本文です。星の平均だけでは、「駐車場は広いか」「ひとりでも過ごしやすいか」に答えられません。
評価が高くても、書かれている話題が少ない宿
たとえば、星4.8の一棟貸しの宿があるとします。口コミを読み返すと、ほとんどが「きれい」「広い」「また来たい」です。
実際には、庭で焚き火ができることや、近くの朝市が泊まる理由になっていることがこの宿の強みです。しかし、口コミにはほとんど出てきません。
この状態では、AIに「焚き火ができる宿は」と聞かれても、この宿は答えの材料になりません。評価は高いのに、紹介される場面が少ない宿になってしまいます。
大事なのは、口コミに出てくる話題の種類です。アンケートの項目は、この種類を増やすために決めます。
アンケートは、宿泊者に体験を言語化してもらう場
聞かれた話題は、口コミにも書きやすくなる
人は、聞かれたことを思い返します。「朝の時間はどう過ごしましたか」と聞かれて、初めて朝市のことを言葉にする人は少なくありません。
言葉にした内容は、しばらく頭に残ります。その状態で口コミの投稿画面を開けば、朝市のことも書けます。
アンケートは、満足度を測るだけの道具ではありません。アンケートは、宿泊者が自分の体験を振り返り、具体的に言語化する場でもあります。
その言葉が、口コミを書くときの材料にもなります。
5段階評価だけでは、言葉が出てこない
「お部屋の清潔さは5段階で何点ですか」と聞くと、答えは数字で終わります。宿にとっては集計しやすい設問ですが、宿泊者の頭には何も言葉が残りません。
「お部屋で気持ちよく感じたところはありますか」と聞けば、「窓からの景色」「布団のにおい」といった具体的な言葉が出てきます。
最初に入れておきたい設問の型
設問は、次のような型から選ぶと組み立てやすくなります。
- 滞在中に印象に残った場面を聞く
- 客室や共有スペースでの過ごし方を聞く
- 周辺で行った場所や食べたものを聞く
- 到着やチェックインで迷った点を聞く
- 気になった点や、もっと良くなると思う点を聞く
設問の数は、スマホで1〜2分で答え終わる量に収めます。長いアンケートは途中でやめられ、最後の自由記述までたどり着きません。
良い点だけを聞くのではなく、気になった点も同じように聞いてください。評価を誘導する聞き方は、宿泊者にも見透かされます。
聞けていない話題は、自由記述から見つけて足す
最初の設問は、宿の想像で作られている
最初に作る設問は、どうしても宿側の想像がもとになります。実際に宿泊者が気にしている話題とは、少しずれています。
そのずれは、自由記述に現れます。設問では聞いていないのに、宿泊者が自分から書いてくる話題があれば、それが聞けていない話題です。
「居心地がいい」で止まってしまう声
筆者が運営に関わる小規模ゲストハウスでも、宿泊者の声に「居心地がいい」という言葉が出てきます。うれしい声ですが、何が良かったのかまでは分かりません。
共有スペースで、他の宿泊者と話したのが楽しかったのか。部屋でひとり、ゆっくりできたのが良かったのか。同じ「居心地がいい」でも、中身が正反対の場合があります。
この違いは、次に泊まる人にとって大きな差です。人と話したい人と、静かに過ごしたい人では、選ぶ宿が変わります。
AIに「ひとりで静かに過ごせる宿は」と聞かれたときも、「居心地がいい」だけでは答えの材料になりません。
原因は、過ごし方を具体的に聞けていないことです。
具体的な過ごし方を尋ねる設問がないと、宿泊者の感想が「居心地がいい」のような抽象的な言葉で止まりやすくなります。
過ごし方を選んでもらう設問を足す
そこで、滞在中の過ごし方を選んでもらう設問を足します。たとえば次のような選択肢です。
- 共有スペースで他の宿泊者と話した
- 共有スペースでひとりで過ごした
- 部屋でゆっくり休んだ
- 周辺を散歩した
- 仕事や作業をした
- その他
選択式なら、文章を書くのが苦手な人も数秒で答えられます。選んだ過ごし方について一言添えてもらえば、「居心地がいい」の中身が見えてきます。
聞けていない話題を見つける手順
手順は次の4つです。
- 直近数ヶ月の自由記述を読み、話題ごとに分ける
- 何度も出てくる話題に印をつける
- その話題を、今の設問で具体的に聞けているか確かめる
- 聞けていなければ、次の月から設問を1つ足す
一度にたくさん足すと、アンケートが長くなります。1〜2問ずつ足し、回答が集まったらまた見比べます。
回答が月に数件しかない宿は、1ヶ月では話題の偏りが分かりません。数ヶ月分をまとめて見る方が確実です。
あしあとブックでできること
ここまでの流れを、少人数の宿でも手をかけずに回せるようにしたのが、あしあとブックです。
QRコード1枚で、館内情報とアンケートをまとめる
館内情報とアンケートを1つのQRコードにまとめ、印刷して客室に置けば運用が始まります。
宿泊者は、館内情報やゲストノートを見るついでにアンケートへ進めます。チェックアウトの慌ただしい時間に、改めてお願いする必要はありません。
選んだ過ごし方をもとに、口コミの下書きを作る
アンケートでは、過ごし方などを選択式で選び、必要に応じて一言を書き添えてもらいます。
その回答をもとに、AIが口コミの下書きを作ります。「居心地がいい」で終わっていた声が、アンケート設計でどこでどう過ごしたのかが伝わる文章になります。
下書きに使うのは、宿泊者が選んだ内容と書いた言葉だけです。回答にないことを足したり、宿をよく見せる言葉を加えたりはしません。
投稿するかどうか、どう直すかは宿泊者本人が決めます。満足度によって、投稿への案内を出し分けることもありません。
聞けていない話題を、毎月自動で見つける
集まった回答は、月ごとに自動で集計されます。あわせて、自由記述と今の設問も自動で照らし合わせます。
自由記述に出ているのに設問がない話題は、設問案として提示されます。宿は内容を確認し、採用すれば次の月のアンケートに反映されます。
手順で紹介した「分ける・印をつける・確かめる・足す」を、宿が手作業で続ける必要はありません。
まとめ
- AIが宿の特徴を説明するときは、星の平均だけでなく、口コミ本文にどんな具体的な話題が書かれているかが重要です
- アンケートは、宿泊者が体験を言語化する場として項目を決めます
- 「居心地がいい」で止まる声は、過ごし方を選ぶ設問を足すと中身が見えてきます
- 自由記述に出ているのに設問がない話題は、次の月に設問として足します
- あしあとブックでは、回答からの口コミ下書きと、聞けていない話題の発見を自動で行います
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